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伝えられるかな

先日読んで、だいぶん目からウロコが落ちた本から印象に残ったところをピックアップ。
「オニババ化する女たち/三砂ちづる」より。

 今、保健医療の場では、「健康教育は知識は増やすけれども、行動変容は生み出さない」と言われています。たとえば、エイズ予防のためにはコンドーム使用が重要であることは、今は誰でも知っていると思いますが、「エイズ予防のためにコンドームを使用しなければならない」という知識を持っているということと、「実際に必ずコンドームを使用する」という行動を起こすことの間には、大きなギャップがあるのです。知っていても、やらない。つまり、知識は行動の変革に結びついていません。

 医療の知識は、ほんの数年、長くて数十年、近代医療の歴史すべてを合わせても、たかだか百年程度の人間の知識なのです。このような短い時間しか経ていない「知識」は、治療の現場で専門職の人々にとっては役に立つことかもしれませんが、人々がより豊かに生を営もうとするときには、あまり役に立てないのではないでしょうか。

「知識」として覚えた医療や健康の情報は、若い人たちの心には届かず、なんだかどこかを素通りし、上滑りしているような感じを覚えるのです。

 わたしたちの周りには、男性が男性に、女性が女性に伝えてきた豊かなからだの知恵があったのではないでしょうか。それをいつごろから忘れてしまったのでしょう。


この本では、主に女性の出産というものを通じて、脈々と引き継がれてきた知恵の伝承が途絶えてしまったことを指摘されています。

ぼくらに何が伝えられるか、考えさせれます。

by omori-sh | 2005-08-19 13:27 | book