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久々の講演会

最近勉強不足で、講演を聴きに行くということをあまりしていなかったのだが、今日の午後、久々に講演会に行ってみた。
来春から見直される介護保険に関する話もあって、それなりに有意義だった。

新予防給付。介護の現場でも「予防」だ。
要支援や要介護1程度の方の状態が悪くならないように予防するための施策。
そこに口腔ケアが組み込まれる。

新予防給付の三つの柱。
1.運動器の機能向上
2.栄養改善
3.口腔機能の向上

それらプラス、
4.痴呆(認知症)およびうつ対策
5.閉じこもり予防

ということらしい。
運動器の機能向上には筋力トレーニング(高齢者の筋トレだ)というのが言われていて、それに関してはその分野(おもに理学療法士さんが担う分野)の現場の方にとってはこれまたいろいろあるみたいだけど、そういう方向に今は進んでいる模様。

で、われわれの分野。
口腔機能の向上。
問題は、われわれ歯科担当がそこにどれだけ関与できるかである。
実際、教育現場では、要介護者に対する口腔機能向上に関する教育など学生に対し行われている大学は少ない(ほとんどない)らしい。
ぼくらももちろんそんな話は学生時代には聞いたことがなかった。

だから、われわれ歯科医がまずそこに取り組む姿勢が必要なのだ。
それができるかが問われている。

そこに対するぼくの見解は、正直のところ悲観的だ。
でも、地道にやっていけなくちゃいけないとはぼくも思う。
その実践の最重要課題として、ぼくは他職種の方々との連携、チームアプローチだと信じている。
そういう足場づくりがまず必要だ。

そして実は新予防給付よりもやっぱり重要なのは、重度障害を抱えている、要介護3~5の方に対するアプローチだと思う。
これは今日講演されていた植田耕一郎先生もおっしゃっていたけれど、ぼくらの本丸だ。

でも、やっぱりなかなか進まないような気がするなあ。
それじゃあダメなんだけど。

珍しくちょっと堅苦しいことを書いてしまった…。
しかもその筋の人でなければわかりにくい内容だ。
まあでも来るべき超高齢社会、10年後には4人に1人が65以上になるわけで、それを支えていかなくちゃいけないわけで。
自分は関係ない、では済まない。
高齢者に対する医療・介護はこれから右肩上がりなわけで、対応できなきゃいけない。
そのあたりの自覚は必要だ。

今日の講演会では介護保険の話のほか、歯科医師としてもっとテクニカルな講演との二本立てだった。
これに関してはますます専門的になるんだけど、その講演をして下さった中尾勝彦先生(尾道市開業)のお話で印象的かつたいへん共感できた話があるので触れておきたい。

8020運動っていうのがあることはご存知の方も多いだろう。
80歳で20本の歯を残しましょうって運動。
でも、ぼくはこれ、あんまり好きじゃない。なぜかというと、若くしてすでに20本の歯を持っていない人、いっぱいいる。
その人たちにとってみたら、そんな運動、もう自分たちには関係ないのだ。
その人たちの気持ちを考えると、「8020運動推進!」ってぼくは言えない。
そこで中尾先生がおっしゃっていた「新8020運動」はうまいこと言ってるなあと思った。
「80歳でも20歳の人と同じような食事を楽しめるようにしよう」というものだ。
これなら歯が残っていなくても、可能かもしれないから。
そういう夢があるほうが、ずっといい。

残念ながら歯を失ってしまう方に対してぼくらに何ができるか。
若くして歯を失ってしまった人に対してぼくらにできること。
ぼくは人工歯根を植えることだけでは決してないと思う。

中尾先生の話では、入れ歯の話がメインだったけれど、入れ歯も捨てたモンじゃない。
というより、ぼくは入れ歯が好きなので、入れ歯でスキヤキが食べられることを目標に、歯医者をやっていきたいなあって、今は思っている。

支離滅裂な記事になってしまったことを反省しつつ、これは自分の記録ということで。

by omori-sh | 2005-10-24 00:04 | create d.c.