雪でなければ白くない?
最近書店に立ち寄ると、藤原正彦さんの本がパッと目につくところに置いてある。
ぼくも好きだから結構なことだと思う。
藤原さんの本が売れるということが国家の品格が高まることにつながるかどうかは定かではないけれど。
藤原正彦さんの「祖国とは国語」より。
「他人の迷惑になることはしてはいけない」というのが、最近の若者にとってほとんど唯一の道徳規準のようだ。
家庭で親が、学校で先生が、くり返しそう教えているのだろう。
この標語自体は結構だが、結構でないのは、若者の多くがそれを拡大解釈し、「他人の迷惑にならないことは何をしてもよい」と思っていることである。
これが正しければ、電車内で化粧をすることも、授業中にガムをかんだり携帯でメールを送ったりするのも許されることになる。
援助交際などは両者が納得のうえで秘密に行っている限り、まったく誰の迷惑にもならないから、文句なしに肯定されることになる。
先の二つは同義ではないのである。
論理的に言うと「AならばB」が正しくとも、「AでなければBでない」は必ずしも正しくないということである。
そういえば数学で習った。
必要十分条件とか真偽とか逆とか。
どうだったっけ、、、忘れてしまったなあ。。。
「雪は白い」は正しいが、「雪でなければ白くない」は誤りである。
ご飯は白いし不勉強な学生の答案も白い。
論理的に証明できないこともたくさんあるから、絶対的に正しい、正しくないと決められないことも多い。
だから子どもに教育するとき、しつけという名目で叱るとき、悩むことが多い。
大人が品格を失わないようにしないと、どうしたって子どもの品格は保てないんじゃないかと思う。
藤原さんは、ユーモアたっぷりに祖国愛を語っておられるからすばらしい。
by omori-sh | 2006-05-27 07:37 | book