山口だからこその一泊旅行 その3
carlと一緒に旅行に行くとなると一番の心配が宿泊先。
ペット対応といってもやっぱりなかなか慣れないと難しい。
山口まで来ると、carlはあずけることができるかもしれないけれど、ぼくたち家族の宿泊先をどうするかが課題になる。
「よかったらうちに泊まってください」とmさんから提案していただけたとき、すごくうれしかった。
だったら迷わず泊めてもらって行こう、と今回の山口旅行が決まったのだ。
mさんのご主人のお母様が住んでおられる家はすぐそばにあって、昔ながらの家だ。
よかったらそこで泊まってくださいとのこと。
100年以上前につくられた家屋である。
現在お母様は建て増したほうの部屋で暮らしておられるそうで、古い家の座敷は普段は使っていない。
その座敷に布団を敷いて下さった。
古い家なので、台所はたたきでかまどまで残っている。
お風呂は薪をくべてわかすようになっているまま。
それをいまも使用しているというのがすごい。
畑で野菜をつくり、ベーコンも自家製。
手作りできるものは手作りという憧れの、でもすごくたいへんな暮らし方。
そんなお母様もそういう暮らしをするようになったのは60歳を過ぎてかららしい。
そもそも歯科医の妻だったそうで、これにもちょっとびっくりした。
息子さんであるmさんおご主人からお話しを伺っていると、その暮らしぶりには共感できる部分が多く、実際お世話になってみてもそれを強く感じた。
一晩だけではなく、何日か体験してみたいと思った。
メインイベントのあと、あらかじめ案内してもらっていた座敷にはきちんとお布団が敷かれてあった。
クーラーはもちろんないけれど、扇風機だけで十分涼しかった。
ぼくは疲れと酔いですぐに眠りについてしまった。
もっとも普段から早寝の習慣がついてしまって、夜はめっきり弱くなっている。
アルコールは思いのほか残っていない、いい目覚めだった。
夜明けとともに縁側から見える水田の緑が明らかになっていく。
ぼくは歯を磨きながら田んぼの見える縁側に座って江戸時代につくられたというこの家を観察した。
正直のところ、自分が住んでみたいとまでは思わないけれども、こういう家が無くなっていってほしくない。
勝手なものだ。
でもいくらか不便を体験してこその便利さだと思う。
便利がどうしても当たり前になってしまうのだが、好ましいことではないような気がする。
楽なのに慣れてしまうとなかなか元には戻せないものだ。
carlがいる生活に慣れてしまうと、いない生活に戻れるだろうか。
夜、carlはどうしていたのか心配で、妻はなかなか眠れなかったらしい。
実際、carlはなかなか眠らずにずっとウロウロしてmさんを困らせたようだった。
ほんとうに申し訳ない。
朝、carlをのぞきに行ったらぼくらに気づいてまた鳴きだしてしまってみなさんに迷惑をかけてしまった。
眠そうに目をこすりながら出てきて下さったmさん、ごめんなさい。
こちらがドッグ・オアゾ・アスラン。
犬のホテル・ドッグラン・シャンプー・グッズ販売等のペットショップだ。
新しくつくられた設備棟。右手手前がドッグラン。
ここでのいいところはセルフ・シャンプー。
飼い主が好きなようにシャンプーできるというのがいい。
carlもここで泊めてもらった。
普段は家の中の好きなところで眠るcarl、やっぱりなかなか慣れないところでは難しかった。
田んぼの畦道を少し散歩して、ドッグランへ。
そしていつものごとくラジオ体操。
夏休み中はこれがないと一日がはじまらない。
ラジオ体操のあと、のんびり朝の時間を過ごさせていただき、朝食までごちそうになった。
至れり尽くせりである。
ここに来て何度も何度も妻と2人で「来てよかったね」と話している。
ドロドロのcarlを洗い、ドライヤーをかけてもらった。
carlの手入れをmさんとfさんと一緒にしてもらえたのだ。
見違えるほどきれいになったcarlさん、また家に帰ってもたまにはお手入れさせてもらおう。
お店は9時開店なので、それに合わせて9時に出発することにした。
別れは惜しいけれども、いい経験ができたこと、そしてみなさんとお近づきになれたことでまた次回へとつながる。
mさん、fさん、みなみちゃん、さきちゃんにサヨナラ。
mさんのご主人、お母様にも、ほんとうにお世話になりました。
ありがとうございました!
carlにとってどんな帰省になっただろう。
お母さんやきょうだいということはわからなくても、carlにとって何かしら楽しいこともあったはず。
帰り道もたいへんだけど、がんばろう。
帰りの高速道路はスイスイ行けそう。
せっかく山口まで来たんだからとちょいと寄り道することに。
1時間走って岩国で途中下車。
錦帯橋見物。
午前中の涼しい時間ならまだ大丈夫かもしれないということで。
日陰づたいに歩く。
carlも結構元気。
川の水もきれいでいいところだ。
橋も見応えがある。
木組みの橋。
せっかくだから渡ってみよう。
carlと一緒だと、行ける観光地も限られることは確かだ。
建物には入ることはできない。
おみやげを買うにしても一緒にお店に入ることはできない。
暑い日中はできたら外を歩きたくない。
そんな制限があっても、だからこその楽しみ方もある。
子どもたちも今のところ理解して我慢してくれているのか、ほかの魅力を知らないだけなのか、特に不平不満は出ていない。
むしろ、子どもたちのほうがcarlと一緒に楽しめることを望んでいるようにも見える。
ありがたいことだなあと思う。
岩国は宇野千代さんの出身地である。
山口出身の偉人は多い。
いつかは萩の松下村塾も訪れたいと思う。
文化人では宇野千代さんのほか森鴎外や中原中也、山頭火など。
そしてこの錦帯橋のすぐそばに佐々木小次郎の銅像が。
小次郎のイメージはバガボンドの影響をすごく受けているけれども、こうやってその人がいた場所に来るとそれだけでまた思いが変わる。
不思議なものだ。
バガボンドに出てくる小次郎とはちょっとちがうけれども、やっぱり小次郎カッコイイ。
武蔵よりもスマートな感じがするなあ。
1時間強の滞在で、再び帰路へ。
ここからは子どもたちもさすがにおつかれさまで寝てしまったから、静かにスイスイ走る。
1時間に100km走れたので思いのほか早く帰ることができた。
おかげで最後に少し寄り道したけれども帰宅は16時前。
早く帰れたおかげで元気が少し残っている。
carlはさすがにお疲れ気味。
夕方の散歩もキャンセル、食事もキャンセル。
明日になったら元気になっていることだろう。
子どもたちは車中眠ったので元気回復、さすがだ。
山口だからこその一泊旅行、これまたギュッと濃縮の二日間だった。
すばらしい夏の思い出になった。
子どもたちにとっても、絵日記の最高の題材だ。
この旅行に行く決断を後押ししてくれたみんなに感謝している。
ありがとうございました。
by omori-sh | 2006-08-15 12:28 | episode