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roujin

ぼくは歯医者になろうとして学生だったころから、年配の方とのコミュニケーションは好きだった。
入れ歯を受け持った方のことは今でも覚えている。
最後にプレゼントをいただいたからかもしれないけれど。

だから新米の時から入れ歯の患者さんにはずいぶんお目にかかった。
勤め先でそういう患者さんがぼくにまわってきたのは、どちらかというと子どもが苦手だったからというのもあるだろう。

のちに訪問診療を熱心にするようになって、ますますご老人と接する機会が増えた。

自分で開業して、勤務していたころほどは年配の方と接することはなくなった。
当初はとくにお年寄りはほとんど来院されていなかった。

それが徐々にお年寄りが増えてきて、入れ歯の治療が増えてきた。
ぼくは入れ歯を扱うのが好きだ。
何で好きなのかわからないけれど、学生の時からどういうわけか好きなので、たぶん性に合っているんだと思う。

入れ歯というとおじいちゃんおばあちゃん、という感じだけれど、必ずしもそうではない。
40代や50代で部分入れ歯をはめている方も多い。
といってもやはり60以上の方が大半である。

先日からお見えになっている年配の女性に、驚いている。

口の中には上あごに数本ご自分の歯が残っているだけで、下は総入れ歯。
だけれども、たいへんに美しく、上品で、かつ色っぽいのだ。
かわいいおばあちゃん、というのではなく、「女性」だ。

こういう人をうば桜と言うんだろう。

うば桜を教えてくれた老人もステキなおじいさんで、そういう老人にぼくもなりたいと思う。
妻は先ほどの女性のような老人になりたいと言い、ぼくもそれに賛成している。

by omori-sh | 2008-05-20 20:07 | episode